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転職をどうするか!?



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システムの一部しか見えない環境にいたくない


ITエンジニアは、どのような理由で転職を考えるのか。いくつかの事例から、転職者それぞれの課題と解決のプロセスを紹介する。似たような状況に陥ったときの参考になるだろう。
ITエンジニアが転職を考えた動機、抱えていた課題とそれを解決したプロセスを紹介する本連載。今回は企業の社内情報システム部門、いわゆる社内SEに関する話題を取り上げます。
私がお会いする転職者には、社内SEを希望する人が多くいます。でもその理由は人それぞれ。そして、企業の情報システム部門の仕事を本当に理解して希望している人ばかりとはいえません。
「なぜ転職するのか」という理由は、転職活動の本質ともいえる重要なもので、ここをはっきりとらえていないと大失敗をしてしまいます。転職理由の大切さを伝えてくれる一例を紹介しましょう。

■松田さんからの久しぶりの電話

松田さん(仮名)から電話をもらうのは1年ぶりでした。彼は以前私がサポートをし、中堅システム開発(SI)会社から専門商社の情報システム部門に転職したITエンジニアでした。
「久しぶりですね、お元気ですか、松田さん。その後、お仕事は順調ですか?」。そう語りかけると、松田さんの口からは意外な言葉が飛び出しました。「実はその件でお電話したんです。紹介してもらっておいていいにくいのですが、また転職を考えているんです」
私は驚きました。「えっ、本当ですか!あんなに喜んでらっしゃったのに……。それにまだ1年ですし……」。多くの人の転職を支援する中でも、特に採用内定を獲得したときの喜びようが印象的な人でした。あれほど幸せそうに転職していったのに、いったいなぜ、こんなに早く転職を考えるようになったのでしょう。私はさっそく松田さんと会うことにしました。

■仕事の内容が変わった

久しぶりに会う松田さんはどこか気まずそうで、そして少し元気がないようでした。再び転職を考えているわけを尋ねると、松田さんは重い口を開いてくれました。
「実は、3カ月前から仕事の内容ががらっと変わったんです。入社からそれまでは、営業支援システムや契約管理、物流システムなどの基幹システムの刷新プロジェクトにかかわり、とてもやりがいのある毎日だったんです……」
松田さんが転職を考えている理由は、現在の仕事の内容に関するものでした。
松田さんが現在在籍する会社では、以前からホストコンピュータで構成されていた基幹システムの全面刷新が進んでいました。1年前に転職した松田さんも、このプロジェクトに参画する予定で入社したのです。
入社後、予定どおり基幹システムの刷新プロジェクトに配属された松田さんは、一生懸命に仕事に打ち込みました。社内SEとして働くのは初めてで慣れないことも多く、仕事はハードでしたが、とても充実していると感じていたそうです。
そしてシステムは完成し、リリースされました。それが3カ月前のことだったのです。

■システムは使うために作るもの

システムが完成すれば、仕事内容も開発フェイズから運用フェイズに移行します。社内SEの重要な仕事の1つがこの運用フェイズ、要するにシステムを使用していくことなのです。
情報システムのエンドユーザーには、それぞれ会社が属する業界の仕事があります。当たり前ですがそれが本業で、情報システムは本業を全うするための手段の 1つにすぎません。生産工程やそのほかの業務の効率化、競合他社との差別化など目的はさまざまですが、情報システムの構築自体が目的になることはありません。
システムの運用の過程で、機能追加や細かい変更などの開発が発生することはありますが、ゼロベースで情報システムを企画開発することはまれであるといってよいでしょう。
加えて社内SEの仕事には、PCやソフトウェアのライセンスなどの在庫管理や社員のヘルプデスク業務、情報システムの調達やプロジェクト管理に関するさまざまな事務処理などもあります。
社内SEを希望するのなら、こういった社内SEの業務内容を十分認識したうえで応募すべきであり、松田さんにはその点が欠けていたといえます。
松田さんは入社前、上司となる情報システム部の部門長と念入りに打ち合わせをしたはずでした。でも希望の職種に転職できるという喜びのあまり、転職することのリスクを少なく見積もってしまったとのことでした。

■松田さんが転職に求めていたものは

再転職を望む松田さんがここで確認しなければならないこと、それは社内SEを希望したそもそもの理由です。私は松田さんに問い掛けました。

山口(筆者) 松田さん、社内SEを希望されていた理由をもう一度思い出してくださいますか。

松田 はい、社内SEを希望した理由ですか……。情報システム全体を俯瞰(ふかん)したかったからです。前職では部分的にしか見えなかったもので。

山口 そういった意味では、いまのポジションはユーザー側ですから、全体を把握しやすいのではないですか。

松田 はい、そのとおりですが、運用となるとあまりやりがいが持てないんです。しかも技術からは遠ざかって事務的な仕事が増えましたし……。

山口 そうすると社内SEに限定して転職をする必要はないのではないでしょうか。

松田 えっ、またシステム開発の会社に?

私は前述のような社内SEの仕事内容について説明し、松田さんにきちんと理解してもらいました。そのうえであらためて、「情報システム導入の全体を俯瞰できる仕事」という意味でSI企業への転職を提案しました。

山口  松田さんが希望されている仕事は、社内情報システム部門でないと実現できないものではないと思います。情報システムの企画開発に一段高いポジションでかかわりたい、そういう意味では、運用が多いユーザー側よりSI企業の側に多くチャンスがあるのではないでしょうか。

松田 そうですね、前の会社の仕事は大手企業からの下請けがほとんどで、システムの全体感がつかめなかったし、つかむ必要もなかったように思えます。でも元請けのSI企業ならシステム全体を把握して仕事ができる。ぜひチャレンジしたいです。いまならそう思えますよ!

■1年ぶりの転職活動、そして内定

こうして再び転職活動を始めた松田さんは、大手SI企業数社にアプローチ。転職後わずか1年での再転職で難航するかと思った書類選考は、思いのほか首尾よく進みました。短い期間とはいえユーザー側で仕事をした経験も、とても好意的に受け取られたようでした。そして松田さんは、意中の会社から採用内定を獲得することができたのです。
私は松田さんに、内定をもらった会社のSEマネージャとオファー内容に関する打ち合わせを行うことを勧めました。松田さんのやりたい仕事の内容や将来へのキャリアビジョンなどを伝えることで、入社後のギャップを回避するためです。
企業側は快く対応してくれました。未来の上司は松田さんの話を聞き、会社の事業方針や業務内容、社内でのキャリアパスを考慮したうえで、「ぜひ一緒に頑張りましょう」と温かい言葉をかけてくれたようです。松田さんの心から、転職に関する不安が一掃された瞬間でした。

■転職をする本当の理由をよく考えよう

転職では、最初と最後が肝心です。転職先を決める最後の意思決定が重要であることは、皆さんよく分かっているかと思います。しかし、転職活動を始めるときに「なぜ転職するのか」「何を解決するための転職なのか」をはっきりさせることも、最後の意思決定と同じくらいに重要なのです。
今回紹介した松田さんは、一度の失敗を経て夢をかなえることができました。でも、失敗の中身によっては再起ができない可能性もあります。
転職を思い立ったときこそ冷静に、よく考えて物事の本質を見極めるべきです。間違いのない転職のために、一度人材紹介会社のサービスを利用してみてはいかがでしょう。客観的に転職のテーマを浮き彫りにするお手伝いができると思います。
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